嬉し恥ずかし初めての同棲生活で早速鍵トラブル

わたしが最初に同棲したのは大学生でした。独り暮らしの彼氏の家に、わたしが転がり込む感じになりましたが、二人とも実家の両親には内緒にしていました。今思えば、その秘密めいた感覚こそが同棲生活のひとつの楽しみだったのかもしれません。
その同棲生活で最初におきたトラブルは、カギに関するものでした。そもそも同棲するにあたって彼氏からもらった合鍵は、彼のマンションの部屋のカギでしたが、それとは別にそのマンションのエントランスには外扉があり、そこにも当然カギがありました。
もちろん、彼氏はそのエントランスのカギの合鍵も作ろうとしたのですが、鍵屋さんに持っていくと「特殊なカギのために複製は勝手に作ることができない」と言われたそうです。
結局二人で別々に外出するときは、先に帰ってくるほうがエントランスのカギを持って出かけるしかないのですが、何かの都合で予定が狂ってしまうと先に帰ってきた方はマンションに入れなくなってしまうのでした。

もともとの住人である彼氏であれば、他の住人の方とも面識があるため、他の人がエントランスの扉を開けたときに何気なく入ることもできるのですが、「新参者」のわたしは明らかに怪しまれてしまうので、なかなかそうもいきませんでした。マンションに近くには都合の悪いことに時間がつぶせるような喫茶店もなく、コンビニエンスストアで立ち読みしているのが精いっぱいの時間調整方法だったのです。
もちろん、彼はわたしがメインでエントランスのカギを持つようにしてくれましたが、それでもやはり不便であることにかわりはありませんでした。

ところがある日、偶然同じマンションの住人がエントランスの合鍵を持っていることを知ったのです。試しにわたしがエントランスのカギを鍵屋に持っていくと、合鍵は作製可能だと言われました。それではなぜ、彼氏は嘘をついたのでしょう。わたしに合鍵を渡したくない理由とはなんだったのでしょうか。